東京ジャーミイに行ってきた
平成31年、1月20日。代々木上原駅から歩いて10分ほどにあるイスラームのモスクに行ってきた。モスクの詳細は他で譲るとして、ここでは当日案内係の話で印象に残った部分を書こうと思う。
説話
建立秘話
初期東京ジャーミイが建立したのが、昭和16年(1938)。太平洋戦争(大東亜戦争)開戦の3年前の時期である。イスラームのモスクが大半、港町(神戸、横浜等)にあるのに対して、なぜ渋谷の地にあるのか。それは、ロシア革命が関係している。労働階級の不満だとか、レーニンの扇動だとかいわれているが、実態は内乱である。結果、ロシア周辺の部族は亡命することとなる。命からがら生きのびてきた部族がタダール族。彼らが、東京ジャーミイの建立者である。
チューリップバブル
チューリップといえばどこの国が浮かぶだろうか。「オランダ!」と挙がるかもしれない。半分正解。正しい原産はトルコ。トルコで咲くチューリップの美しさに目を奪われたのは、トルコ人だけではなかった。球根を持ち帰ったオランダ人は、早速母国の地に植えた。同じように咲き誇る姿にしまいには魂まで奪われた。チューリップバブルの始まりである。簡単に説明すると、投資案件としてチューリップの球根の値段がうなぎ上りになった出来事である。詳しい話は、ご自身で調べてほしい。
アッラーの思し召し
モスクの待合室には、無料で頂けるナシゴレンのお菓子がある。黒糖のような自然な甘さだ。では、なぜ無料なのか。イスラーム寺院の多くには、賽銭箱のようなお金を寄附するところがある。日本と違うのは、賽銭箱の中身を誰もが閲覧できるのだ。面白いことに、寄附したお金は参拝客が自由に持ち出すことができるのだ(但し、人目を忍んでか夜間)。「ナシゴレンとどういう関係?」と思うかもしれない。簡潔にいうと、寄附する人と施しを受ける人の間接的な助け合いである。では、だれの施しか。「参拝客?」違う。アッラーである。すべてはアッラーの思し召しなのだ。その象徴がナシゴレンである。
全てが平等
礼拝堂に入ると、ちょうどお祈りの時間だった。アラビア語はさっぱりなので、何言っていたかはわからなかった。唯一、”ムハンマド”だけは聞き取れた。一連のお祈りを見届けたあと、ふと日本の神社との違いに気づく。本殿と参拝客の距離が近いのである。玄関を抜けると、カーペットが敷いてあり、遮るものがない。また、礼拝の際、横一列に並んでいたことも印象的だ。これもまた、アッラーと関係している。アッラーの前では、身分・性別・国籍に関わらず、全てが平等。ちなみに、男女混合で参拝は出来ない。階を分けて、参拝が出来る。異性がいることで祈りに集中できないとの理由。案内係曰く、「これが正しい男女平等ではないか」無論、宗教上の平等である。
終わりに
日本は、八百万の神の国。異教徒の文化が混ざり合うこともおかしくない。クリスマス、バレンタイン、ハロウィンなどなど。文化だけではない。教会だってそう。日本人にとって一文化として消費する(信者は別)。今回のモスクを参拝して思った。在日ムスリムの方にとってここは安息の場所なのだろうかと。