IT THE END わからないことへの恐怖

映画の感想

恐怖とは何か

原作版(1990年)を観てから、本作を鑑賞したため登場人物(役者)とピエロの造形が違うことを除けば、概ね満足。本作もそうだが、ピエロの名前”ペニーワイズ“があるにも関わらず、誰しもがITと呼んでいた。底知れぬ恐怖が存在していることの表現かもしれないが、中々興味深いなと感心してしまった。言い表せないことが恐怖なのだと。

悪夢と現実の間

キャラクター名が出てこないことがそんなに不思議かと思われるかもしれない。ホラージャンルで内容が近い「エルム街の悪夢」。怪物名はフレディ=クルーガー。当作では、フレディと呼ばれていた。それが作中では恐怖の対象となる。しかし、ITでは恐怖の対象が分散しているため、ひとつに絞り切れないというのがある。ならばピエロ姿はどうなんだと思うかもしれない。確かにピエロ姿が恐怖のように描かれていたが、実際には登場人物を通して現れる恐怖の姿が肝である。

エルム街の悪夢ならば、夢に入ることが恐怖として描かれるため、観ていて分かりやすい。対して、ITでは現実から地続きのため、どこからが悪夢の始まりなのかわかりづらい。ある意味、現実的でもある。例えば、交通事故。なんの前触れもなく巻き込まれる。映画などでは、事故が起こるまでに前兆が描かれるが、当然現実では計り知れないものだ。突発的に起こるからこそ、恐怖なのだ。

まとめ

白粉を塗り、奇抜な服装でおどけて見せる。道化の姿は本来、見世物の一つだったが、顔がわからないことが猟奇的な行動へと走らせてしまい、今では殺人犯へと変貌を遂げてしまった。隣人の顔すらわからない現代では、ITの世界観のほうが合っているのだろう。悪い意味で。

おまけ

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